能登へ行くかどうか迷っている人がいちばん知りたいのは、「行っていいのか」ではなく「行ったら何ができるのか」だと思います。宿は取れるのか。道は通るのか。目当ての場所は開いているのか。

答えを先に書きます。能登は行けます。ただし「例年どおり」ではないものが、まだいくつも残っています。ガイドブックや数年前の記事のまま出かけると、着いてから予定が崩れます。

この記事は、2026年9月10日にひとつずつ公式サイトを見て、いま開いているもの・閉じているもの・条件つきのものを並べたものです。感想は書きません。確認できた事実と、自分で確かめられる場所だけを置きます。

泊まる|和倉温泉は19軒のうち11軒が営業している

和倉温泉の湯船
温泉には、営業している11軒すべてで入れる

能登でいちばん宿が集まっているのは和倉温泉です。ここの現状がわかると、能登全体の見当がつきます。

和倉温泉旅館協同組合の加盟は19軒(2026年4月1日に20軒から19軒へ変更)。そのうち観光のお客さんを受け入れているのは11軒です。

旅館客室数食事備考
花ごよみ10室
味な宿 宝仙閣22室
湯の華10室朝食のみ夕食の提供なし
日本の宿 のと楽165室
TAOYA和倉101室大江戸温泉物語グループ
はまづる26室2025年8月9日 営業再開
能州いろは23室×2025年10月1日 営業再開
ゆけむりの宿 美湾荘40室2025年11月11日から仮営業
ホテル海望22室2025年12月1日から仮営業
奥田屋4室×2026年7月9日 営業再開
白鷺の湯 能登 海舟100室2026年7月16日 営業再開

客室数は2026年8月時点の数字です。温泉はこの11軒すべてで入れます。

「仮営業」と「食事なし」を先に確認する

この表で見落としやすいのは右の2列です。

組合の案内には、営業を再開した旅館のなかに解体・建設工事の途中で、玄関もロビーもフロントもないまま、仮設の設備で営業しているところが含まれると書かれています。「仮営業」はそういう意味です。

もうひとつ、海沿いでは護岸工事が続いていて、館内から見える海の景観が損なわれていることも組合が明記しています。和倉温泉は七尾湾に面した宿がまとまっている温泉地なので、「部屋から海を眺める」を目的に取ると、想像と違うことがあります。

食事も一律ではありません。能州いろはと奥田屋は食事の提供がなく、湯の華は朝食のみです。素泊まりになるなら、夜に食べられる店を先に調べてから予約したほうが確実です。

残りの8軒のうち、宿守屋寿苑・お宿すず花・天空の宿 大観荘は災害復旧の作業者やボランティア向けの受け入れで、観光客向けではありません。加賀屋・あえの風・虹と海・渡月庵・多田屋は休館中です。

最新の状況は和倉温泉観光協会の「ご宿泊情報について」で更新されています。予約の前に一度見ておくと確実です。

和倉温泉以外という選び方

11軒のうち大型は のと楽・TAOYA和倉・能登 海舟 の3軒だけで、あとは4〜26室の小さな宿です。連休に人数の多いグループで動くと埋まりやすい規模なので、七尾市街・能登島・穴水まで範囲を広げると選択肢が増えます。

移動|道路の規制は、今日もまだ残っている

砂浜を車で走れる千里浜なぎさドライブウェイ
千里浜なぎさドライブウェイ。走れるかどうかは、その日の波次第

能登を車で回るなら、道路の状況をその日ごとに見る癖をつけたほうがいいです。

石川県の「石川みち情報ネット」で、県内の規制が地図と一覧で見られます。2026年9月10日21時台の時点で、県全域の「規制中」は235件。うち通行止が58件、国道249号だけで41件ありました。

国道249号は能登半島の外周を回る道で、輪島や珠洲へ向かうときの主要ルートです。片側交互通行が多く、区間によっては終了時期が「当分の間」と書かれたまま続いているものもあります。地図上の距離だけで所要時間を見積もると足りません。

  • 出発の前日と当日の朝に「石川みち情報ネット」を見る
  • カーナビが規制を反映していないことがある。現地の看板の指示を優先する
  • 奥能登(輪島・珠洲・能登町)へ向かう日は、移動時間を普段より多めに見ておく

千里浜なぎさドライブウェイは、走れない日がある

砂浜を車で走れる千里浜なぎさドライブウェイは、波が高いなど安全に走れないと判断された日は通行止めになります。石川県は「潮位の変化や天候等により、通行帯の幅や路面の状況は常に変化しているため、今後の見通しについてはお答えできません」と明記していて、前日の時点でも開くかどうかはわかりません。

近年は規制が増えていて、北國新聞は2026年5月末の時点で通行規制が100日を超え、過去最多のペースだと報じています。

当日の可否は「石川みち情報ネット」トップの【観光道路情報】か、羽咋土木事務所(0767-22-1225)で確認できます。

鉄道で行けるのは穴水まで

のと鉄道は七尾から穴水までの33.1kmで、そこから先に線路はありません。輪島にも珠洲にも、鉄道では行けません(穴水〜輪島は2001年、穴水〜蛸島は2005年に廃止されています)。穴水から先は北鉄能登バスかレンタカー、あるいはのと里山空港からの移動になります。

乗る|観光列車は、いま個人では予約できない

のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」は、2025年4月から「震災語り部観光列車」として走っています。地震を経験した語り部が能登のいまを話す列車です。

ただし2026年9月10日の時点で、一般個人向けの予約は受け付けていません。2026年度の個人枠はゴールデンウィーク期間と夏休み期間に設定され、夏季分は9月1日で受付を終えました。下半期の設定は公式サイトで告知される形です。

  • 団体(8名以上)はのと鉄道旅行センター(0768-52-0900)で随時受付
  • 料金は乗車券に加えて1,200円
  • 乗り降りできるのは七尾・和倉温泉・穴水の3駅だけ。七尾〜和倉温泉間だけの利用はできない
  • 普通列車に観光車両を1〜2両つないで走る。各車両の定員は37名

つまり「ふらっと行って観光列車に乗る」は、いまはできません。

ポケモン列車なら、普通運賃で乗れる

一方、のと鉄道を走る「POKÉMON with YOU トレイン」は特別料金も予約も要りません。普通列車の運賃だけで乗れます。

向き時刻
上り穴水12:55 → 能登鹿島13:02 → 西岸13:07 → 能登中島13:14 → 笠師保13:19 → 田鶴浜13:26 → 和倉温泉13:31 → 七尾13:37
下り七尾14:21 → 和倉温泉14:27 → 田鶴浜14:31 → 笠師保14:36 → 能登中島14:43 → 西岸14:50 → 能登鹿島14:55 → 穴水15:02

2026年9月からは1日1往復です(夏休み期間は2往復でした)。運休は毎週水曜。水曜が祝日の場合は運行して、翌日が運休になります。

見る|開いているもの、形が変わったもの、今年はないもの

地震で南東側が崩れたあとの見附島
見附島。地震で南東側の半分が崩れ、姿が変わった

大本山總持寺祖院|通常拝観に戻っている

輪島市門前町の總持寺祖院は、拝観受付の修繕が終わり、令和7年(2025年)4月1日から通常どおりの拝観を再開しています。

  • 拝観時間 8:00〜17:00
  • 拝観料 大人500円/中高生400円/小学生200円
  • 駐車場 自家用車50台・大型バス20台

見附島|形が変わったまま、見ることはできる

珠洲市のシンボルだった見附島は、地震で南東側の半分が崩壊し、姿が大きく変わりました。それでも見附公園から見ることはできて、駐車場は200台・無料です。のと里山空港から車で40分ほど。

崩れる前の写真と見比べるために訪ねる人もいます。地震で何が起きたのかを、説明なしに一目で理解できる場所です。

白米千枚田|棚田は見られるが、「あぜのきらめき」は今年もない

海に向かって田が落ちていく白米千枚田そのものは訪ねられます。ただし冬の名物だったイルミネーション「あぜのきらめき」は、震災の影響で令和7年度は開催されませんでした。公式サイトにそう明記されています。

令和8年度(2026年10月〜2027年3月)の開催については、9月10日時点で公式サイトに記載がありません。冬に合わせて予定を立てるなら、輪島市産業部観光課(0768-23-1146)で確かめてから決めたほうが確実です。

のとじま水族館|開いているが、見られない生きものがいる

のとじま水族館は開いています(3月20日〜11月30日は9:00〜17:00、入館は16:30まで)。ただし2026年9月10日の時点で、展示に4つの変更が出ています。

対象状況
ジンベエザメジンベエザメ(モモ)が死亡したため展示していない(2026年1月25日の告知)
ウミガメ水槽水槽の修繕のためプールでの展示を休止。アオウミガメは「イルカたちの楽園」のトンネル水槽で見られる(2026年9月10日の告知)
カマイルカ体調管理のため「イルカたちの楽園」では展示せず、イルカプールで見られる(2026年8月26日の告知)
コツメカワウソ展示を休止している(2026年7月30日の告知)

ジンベエザメ目当てで行くと、いまは会えません。子どもを連れて行くなら、先に伝えておいたほうが穏やかです。

買う・食べる|輪島朝市は「朝市通り」ではない場所で開いている

輪島朝市は、2024年1月の火災で焼けた朝市通りでは開いていません。いま開いているのは「出張輪島朝市」です。

  • 場所:ワイプラザ輪島店(輪島市宅田町41)
  • 開催:水曜を除く毎日 9:00〜13:00

朝市通りの周辺では本格的な復興工事が始まっていて、市が整地とインフラ整備を進めています。朝市組合は2030年ごろの朝市通りでの再開を目指す計画です。数年単位の話なので、いま輪島で朝市の空気に触れたいなら、行き先はワイプラザになります。

出張輪島朝市は金沢など輪島市外にも出ています。予定は公式サイトのイベント情報で告知されます。

出かける前に見る3つ

この記事の中身も、来月には変わっている可能性があります。最後に、自分で確かめられる場所を置いておきます。

見るものどこで何がわかるか
道路石川みち情報ネット(石川県土木部)当日の通行止・片側交互通行・千里浜の可否
和倉温泉の宿和倉温泉観光協会「ご宿泊情報について」営業中の旅館、仮営業かどうか、食事の有無
個々の施設各施設の公式サイトの「お知らせ」展示や設備の一部休止。まとめサイトには載らない

とくに3つめが効きます。のとじま水族館のウミガメ水槽の休止は当日に出た告知で、旅行サイトの施設情報には反映されていません。行き先が決まっているなら、その1館の「お知らせ」を見るだけで、当日の落胆はかなり減ります。

まとめ

  • 和倉温泉は19軒中11軒が営業。うち2軒は仮営業、2軒は食事なし、1軒は朝食のみ
  • 海沿いは護岸工事中で、部屋から見える海の景色は以前と違う
  • 道路の規制は今日時点で県全域235件、国道249号だけで41件
  • 千里浜は波次第。前日にもわからない
  • 鉄道は穴水まで。輪島・珠洲へは鉄道では行けない
  • 観光列車のと里山里海号は、いま個人予約を受け付けていない
  • ポケモン列車は普通運賃で乗れる。1日1往復、水曜運休
  • 總持寺祖院は通常拝観に戻っている
  • 見附島は形が変わったが、見ることはできる
  • 「あぜのきらめき」は令和7年度は開催なし。令和8年度は未発表
  • のとじま水族館はジンベエザメ・コツメカワウソ・カマイルカ・ウミガメ水槽の展示に変更あり
  • 輪島朝市はワイプラザ輪島店で、水曜以外の9:00〜13:00

閉じているものを並べましたが、裏を返せば、ここに書いた以外はだいたい動いています。出かける前にこれだけ押さえておけば、着いてから慌てることはあまりないはずです。

この記事の内容は2026年9月10日に、和倉温泉観光協会、のと鉄道、のと里山里海号、のとじま水族館、白米千枚田、出張輪島朝市の各公式サイトと、石川県の「石川みち情報ネット」「ほっと石川旅ねっと」で確認したものです。状況は変わるので、出かける前に各公式サイトでご確認ください。

写真提供:石川県観光連盟


Sightseeing

この記事に出てくる観光スポット

本文で触れた場所です。開いている時間や料金は、それぞれのページにまとめてあります。

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