能登半島の内側、七尾湾に沿って走るローカル線が「のと鉄道七尾線」です。七尾駅から穴水駅まで33.1km、駅は全部で8つ。片道の運賃は850円で、乗り通しても40分ちょっとで着いてしまいます。

短い路線ですが、乗ろうとすると意外と迷います。1時間に1本しかないので乗り継ぎを間違えると1時間待ちになりますし、観光列車も「乗れる列車」と「いま個人では乗りにくい列車」が混ざっています。金沢からどう来るのかも、七尾までの行き方が普通列車と特急で2通りあってわかりにくい。

この記事では、時刻表と運賃表と公式の案内を一度ぜんぶ突き合わせて、のと鉄道に乗るために知っておきたいことを整理しました。掲載している時刻は令和8年3月14日改正のダイヤ、運賃は令和元年10月改定のものです。乗る前に公式サイトで最新をご確認ください。

のと鉄道は七尾から穴水までの33.1km、駅は8つ

七尾城跡から見下ろす七尾湾と七尾の市街
七尾城跡から見た七尾湾。のと鉄道はこの湾沿いを走る

まず路線の全体像です。起点が七尾駅、終点が穴水駅。途中に6駅あって、合計8駅しかありません。七尾市と穴水町の2市町だけを通ります。

七尾からの営業キロ所在
七尾駅0.0km七尾市
和倉温泉駅5.1km七尾市
田鶴浜駅8.6km七尾市
笠師保駅12.7km七尾市
能登中島駅16.3km七尾市
西岸駅22.5km七尾市
能登鹿島駅26.8km穴水町
穴水駅33.1km穴水町

かつては穴水から先、輪島や珠洲まで線路が伸びていましたが、輪島までの区間は2001年、珠洲方面は2005年に廃止されています。いま鉄道で行けるのは穴水までです。輪島や珠洲へは、穴水から先はバスか車に乗り換えることになります。

2024年の能登半島地震では全線が運休しました。2月15日に七尾〜能登中島間、4月6日に全区間で運転を再開しています。

1日17本。乗り遅れると、次はだいたい1時間後

本数は下り(穴水方面)17本、上り(七尾方面)17本です。1両編成のことが多く、日中はおおむね1時間に1本の間隔になります。

  • 七尾発の始発は7:08、最終は22:02(穴水着22:41)
  • 穴水発の始発は6:15、最終は21:10(七尾着21:52)
  • 七尾から穴水までの所要時間は、普通列車で39〜44分

ただし間隔は一定ではありません。朝は10:04発と10:47発が続けて出ますが、11:43発の次は13:11発で、昼をまたぐと1時間半近く空きます。穴水側も同じで、12:26に着いて次の穴水発は13:05です。降りて食事をして戻るつもりなら、帰りの時刻を先に決めてから降りてください。

駅で待つ場所が限られる無人駅もあります。日中に途中下車するなら、あらかじめ滞在時間を1時間か2時間で組んでおくと、待ちぼうけになりません。

運賃は210円から850円。土日祝に往復するならフリーきっぷ

初乗りは210円、七尾から穴水までの全区間で850円です。営業キロで区切られていて、33kmを超えると850円になります。

特徴的なのは七尾〜和倉温泉間で、この区間だけは特定区間として190円に設定されています。5.1kmで190円なので、初乗りより安く乗れる珍しい区間です。

往復するなら、フリーきっぷのほうが安くなる

土日祝に使えるフリーきっぷが「つこうてくだしフリーきっぷ」で、大人1,000円、小人500円。のと鉄道の全線が終日乗り放題です。

七尾から穴水を単純に往復すると850円×2で1,700円ですから、往復するだけで700円得します。途中の駅で降りるつもりなら、なおさら買っておいたほうがいい計算になります。販売は穴水駅・能登中島駅・田鶴浜駅・七尾駅の駅係員と、のと鉄道の運転士です(運転士での販売を止めている期間があります)。

平日に乗る場合はこのフリーきっぷが使えません。平日は普通に切符を買うことになります。

金沢から七尾までは、普通列車で1時間37分・1,230円

のと鉄道に乗るには、まず七尾駅まで来る必要があります。金沢からの経路は、金沢〜津幡がIRいしかわ鉄道、津幡〜七尾がJR七尾線です。会社は分かれていますが、乗り換えなしの直通列車が走っています。

  • 普通列車…金沢から七尾まで1時間37分、運賃1,230円
  • 特急「能登かがり火」…金沢から七尾まで50分ほど。乗車券に加えて特急料金が必要

特急は和倉温泉駅まで直通するので、和倉温泉に泊まる人はそのまま乗り入れられます。のと鉄道に乗ることが目的なら、七尾で降りて乗り換えるかたちになります。

車で来る場合、七尾駅の周辺には駅前商業施設の駐車場やコインパーキングがあります。のと鉄道の利用者割引がある駐車場もあるので、停める前に駅係員に聞いてみてください。

8つの駅、それぞれ何があるか

和倉温泉の総湯の外観
和倉温泉の総湯。和倉温泉駅から温泉街へはバスか車で

駅の数が少ないぶん、1駅ごとの性格がはっきり分かれています。

和倉温泉駅|温泉街へは、ここからバスか車で

七尾から5.1km、190円。特急が乗り入れる駅です。ただし駅と温泉街は少し離れていて、駅から歩いて温泉旅館に着くわけではありません。宿の送迎かバス、タクシーを使うことになります。

田鶴浜駅|建具の町の駅

七尾から8.6km。田鶴浜建具で知られる地区の駅です。駅の周辺は住宅と田んぼで、観光施設が並んでいるわけではありませんが、のと鉄道のフリーきっぷを売っている4駅のひとつです。

笠師保駅|七尾湾がいちばん近づくあたり

七尾から12.7km。線路が海に寄っていく区間の入口にあたる無人駅です。牡蠣の養殖いかだが浮かぶ湾を、車窓から近い距離で見られます。

能登中島駅|全国に2両しかない郵便車が停まっている

七尾から16.3km。ホームの脇に鉄道郵便車「オユ10」が保存されています。全国に2両しか残っていない車両で、鉄道郵便車保存会が保有しています。

中島地区は北陸有数の牡蠣の産地でもあり、俳優の仲代達矢さんが主宰する無名塾の合宿地として、1995年に能登演劇堂が開館した町でもあります。駅名標にはポケモンのデザインが入っています。

西岸駅|アニメに出てくる駅

七尾から22.5km。『花咲くいろは』の湯乃鷺駅のモデルとして知られ、『君は放課後インソムニア』にも登場します。七尾湾を見下ろす木造の駅舎で、列車が来ない時間はとても静かです。

能登鹿島駅|通称「能登さくら駅」

七尾から26.8km。ホームの両側に約100本のソメイヨシノが植えられていて、春には桜のトンネルになります。愛称が「能登さくら駅」。普段は静かな無人駅ですが、桜の時期だけは混みます。七尾湾に面していて、桜がない季節も景色のいい駅です。

穴水駅|終点。ここから先は道が分かれる

七尾から33.1km、850円。線路の終点で、駅の構内に穴水町物産館「四季彩々」があります。ポケモンの装飾ゲートや顔出しパネル、ポケふたが置かれている駅でもあります。

穴水は牡蠣の町です。冬になると駅の周りで牡蠣を出す店が動き出します。

ポケモン列車は、普通運賃で乗れる

のと鉄道には「POKÉMON with YOU トレイン(ポケモン列車)」が走っています。被災した能登の子どもたちに向けたポケモン・ウィズ・ユー財団の取り組みとして、2024年8月1日から運行されているものです。

特別料金はかかりません。普通列車の運賃で乗れます。予約もできませんし、イベント時を除いて定員もありません。つまり、時間さえ合えば誰でも乗れます。

2026年9月以降は1日1往復

向き時刻
上り(穴水→七尾)穴水12:55 → 能登鹿島13:02 → 西岸13:07 → 能登中島13:14 → 笠師保13:19 → 田鶴浜13:26 → 和倉温泉13:31 → 七尾13:37
下り(七尾→穴水)七尾14:21 → 和倉温泉14:27 → 田鶴浜14:31 → 笠師保14:36 → 能登中島14:43 → 西岸14:50 → 能登鹿島14:55 → 穴水15:02

運休は毎週水曜です。水曜が祝日の場合は運行して、その翌日が運休になります。夏休み期間は1日2往復に増えていましたが、9月からは1往復に戻っています。

穴水駅・能登中島駅・和倉温泉駅・七尾駅にポケモンのスタンプ台が置かれています。ポケモンデザインの1日フリーきっぷも販売されています。

観光列車「のと里山里海号」は、いま個人では乗りにくい

のと鉄道の観光列車といえば「のと里山里海号」ですが、いまの運行のしかたは以前と変わっています。

2024年の地震で運休したあと、2025年4月6日から「震災語り部観光列車」として運行を再開しました。震災を経験した語り部が能登のいまを話す列車で、七尾・和倉温泉・穴水の間を走ります。

注意したいのは予約の枠です。2026年9月10日の時点で、一般個人向けの予約は受け付けていません。2026年度の個人枠はゴールデンウィーク期間と夏休み期間に設定され、夏季分は9月1日で受付を終えました。下半期の設定は公式サイトで告知される形になっています。団体(8名以上)はのと鉄道旅行センター(0768-52-0900)で随時受け付けています。

料金は乗車券に加えて1,200円。普通列車に観光車両(里山号・里海号)を1〜2両つないで走るかたちで、各車両の定員は37名です。乗り降りできるのは七尾・和倉温泉・穴水の3駅だけで、七尾〜和倉温泉間だけの利用はできません。予約は観光列車予約センター(0768-52-2300、10:00〜17:00、月・火休み)、穴水駅窓口、公式サイトからです。

つまり「ふらっと行って観光列車に乗る」のは、いまは難しい。乗りたい日が決まっているなら、まず予約枠が開いているかを確認するところから始めることになります。

沿線に泊まりたいとき、駅から歩ける宿は少ない

七尾の一本杉通りの町並み
七尾の一本杉通り。宿を取るなら七尾か和倉温泉が現実的

当サイトに掲載している石川県の宿617軒のうち、のと鉄道の各駅の近くに何軒あるかを数えました。地図上の直線距離をもとにした目安です。

徒歩20分以内半径3km以内半径6km以内
七尾駅8軒9軒14軒
和倉温泉駅4軒28軒40軒
田鶴浜駅1軒2軒31軒
西岸駅1軒6軒7軒
能登鹿島駅1軒1軒7軒
穴水駅0軒3軒4軒

数字を見るとはっきりします。歩いて宿にたどり着けるのは七尾駅と和倉温泉駅の周辺で、そこから北は、駅から車で迎えに来てもらうか、自分で運転するかになります。

現実的な組み方は、七尾か和倉温泉に泊まって、のと鉄道は日中の往復に使うやり方です。穴水に泊まりたい場合は、宿に送迎があるかを予約時に確認してください。

車と、どちらで回るか

夕暮れの七尾湾に架かる能登島大橋
能登島大橋。車なら行ける範囲は一気に広がる

正直なところ、能登を効率よく回るなら車のほうが自由です。のと鉄道は1時間に1本で、終点の穴水から先は線路がありません。輪島にも珠洲にも、鉄道では行けません。

それでも列車を選ぶ理由があるとしたら、七尾湾の見え方です。笠師保から能登鹿島にかけて線路が海のすぐそばを走る区間があり、運転しながらでは見られない角度で湾を見ることになります。あとは単純に、飲めることです。

折衷案として現実的なのは、金沢から七尾まで列車で来て、七尾か和倉温泉で1泊、翌日にレンタカーで奥能登へ入る組み方です。のと鉄道は初日の午後に往復で乗ってしまえば、それだけで七尾湾の景色は見られます。

乗る前に決めておきたい3つのこと

のと鉄道は路線が短いぶん、事前に決めておくことも多くありません。次の3つだけ押さえておけば、たいてい困りません。

  • 行きの列車と、帰りの列車を両方決める…1時間に1本なので、帰りを決めずに降りると1時間立ち往生します
  • 土日祝ならフリーきっぷを買う…往復するだけで700円得します。平日は使えません
  • 観光列車に乗りたいなら、先に予約枠を調べる…震災語り部観光列車の個人枠は期間限定です

あとは、途中で降りたくなったら降りてください。無人駅ばかりですが、そのぶん誰もいないホームで七尾湾を眺める時間が手に入ります。

時刻・運賃は2026年9月10日時点で、のと鉄道の時刻表(令和6年7月20日ダイヤ改正)と運賃表をもとにしています。ダイヤは変わることがあるので、出かける前に公式サイトでご確認ください。

写真提供:石川県観光連盟


Sightseeing

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