能登のものを買いたい、けれど生ものは受け取る日が読めないし、相手の好みも分からない。そういうときにいちばん扱いやすいのが調味料です。
日持ちがして、かさばらず、使い切れる。そして能登の塩といしるは、作り方そのものがこの土地でしか成立しなかったものです。
能登の塩は、海水を汲んで作られてきた

能登の珠洲市や輪島市の海沿いには、揚げ浜式製塩という方法が伝わっています。海水を汲み上げて砂を敷いた塩田にまき、太陽と風で水分を飛ばして濃い塩水を作り、それを釜で炊いて塩にする、という手のかかるやり方です。
この製法は国の重要無形民俗文化財に指定されており、日本で揚げ浜式が続いているのは能登だけとされます。味は角がなく、粒が大きめのものが多い。肉や焼き魚に直接ふる「振り塩」で使うと違いが分かります。
- 揚げ浜式…手間がかかる分、値段は上がります。贈り物や「味を確かめたい」とき
- 平釜炊きの塩…能登の海水を釜で炊いたもの。ふだん使いに
- 藻塩・焼き塩…用途が限られるぶん、料理好きの人には喜ばれます
いしる。日本三大魚醤のひとつ

いしる(能登の東側ではいしりと呼ばれます)は、イワシやイカの内臓を塩で漬け込んで、時間をかけて発酵させた魚醤です。秋田のしょっつる、香川のいかなご醤油と並べて、日本三大魚醤に数えられます。
原料によって性格が変わります。
| 種類 | 原料 | 味と使いどころ |
|---|---|---|
| いしり | 主にイカの内臓 | 濃厚でうまみが強い。鍋、炒めもの |
| いしる | 主にイワシ | すっきりめ。汁もの、煮物、下味 |
いしるの使い方。まずこの3つ

- いしる鍋…能登の代表的な食べ方。だしにいしるを少し落とし、白菜・きのこ・魚介を入れる。ホタテの貝殻を鍋がわりにする「貝焼き」が知られています
- 炒めもの…野菜炒めの仕上げに数滴。うまみが一段深くなります
- パスタ・チャーハン…ナンプラーの代わりに使えます。和のものにも洋のものにも合う
慣れてきたら、刺身のつけ醤油に数滴混ぜる、卵かけごはんに落とすといった使い方もできます。日持ちがするので、少しずつ試せるのが調味料のいいところです。
ほかにもある、能登の日持ちするもの

能登には、ふぐの卵巣の糠漬けという珍味があります。本来は食べられない部位を、塩と糠に長期間漬け込むことで食べられるようにしたもので、石川県内の限られた業者だけが製造を許可されています。
味は非常に濃く、酒の肴として少しずつ食べるものです。薄く切って、そのままか、軽く炙って。お茶漬けに乗せる食べ方もあります。珍味なので万人向けではありませんが、酒好きの人への贈り物としては強い印象を残します。
- ふぐの子糠漬け…珍味。酒の肴に。少量で足ります
- 能登の醤油・味噌…蔵元が点在します。日持ちして使い切れる
- 干物・魚の糠漬け(こんか漬け)…冷凍で日持ち。ごはんにも酒にも
買って応援する、ということ
能登は2024年1月の地震で大きな被害を受けました。生産を再開した事業者もあれば、いまも設備の復旧の途中というところもあります。
こういうとき、いちばん続けやすい応援は、ふつうに買うことです。一度きりの寄附より、気に入ったものを繰り返し買うほうが、作っている側にとっては見通しが立ちます。調味料は日持ちして使い切れるので、その意味でも続けやすいものです。
まとめ
能登の調味料は、塩は振り塩で、いしるは少量から。これだけ守れば失敗しません。日持ちがして、受け取る日を選ばず、相手の食べ物の好みにも左右されにくい。能登のものを贈りたいけれど何にするか決まらない、というときの答えとしていちばん堅いところです。
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