石川で釣りをしていいのか。答えは「いい」ですが、条件がついています。県の漁業調整規則が遊漁者に認めている漁法は5つだけで、釣りはその1つ目に書かれています。
一方、足元の岩からサザエを1個持ち帰るのは、釣りとはまったく別の行為として扱われます。罰金の桁も違います。
石川県水産課と水産庁の資料をもとに、海と川それぞれで何が認められ何が禁じられているかを整理します。堤防釣りができる場所の紹介はしません。漁港ごとに立入の扱いが違うので、代わりに調べ方を最後に置きました。
石川の沿岸は、どこかしら漁業権がかかっている

石川県水産課は密漁対策のページで、県内の沿岸域には漁業権が設定されていると説明しています。そのうえで、アワビ・サザエ・ワカメなどを採ると漁業権侵害として罰せられることがある、と書いています。
誤解されやすいのですが、漁業権は海を私有地にする権利ではありません。共同漁業権の場合、対象として定められた水産動植物を、権利を持つ漁協の組合員以外が採ってはいけない、という中身です。砂浜を歩くことも、そこで竿を出すこと自体も、この権利では禁じられていません。
つまり「石川の海は釣り禁止」ではない。制限がかかっているのは、対象魚種を採る行為と、認められていない漁法のほうです。海で仕事をしている人たちが守ってきた資源を、どう分けるかという線引きでもあります。
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遊漁者が使える漁法は、規則で5つに限定されている
根拠は石川県漁業調整規則の第45条です。漁業者が漁業を営む場合と試験研究の場合を除いて、次に挙げる漁具・漁法以外では水産動植物を採ってはならない、と定めています。
裏を返せば、この5つに書かれていない漁法は遊漁者には使えません。刺し網もかごもはえ縄も一覧にないので、対象外です。「自分で食べる分だけ」は理由になりません。
水産庁も、使える漁具漁法のほか、禁止区域、禁止期間、魚種ごとの大きさの制限、夜間の照明利用の制限が法律と各県の規則で決まっていると案内しています。規則は県ごとに違うので、他県で通ったやり方が石川でも通るとは限りません。
| 認められている漁具・漁法 | 条文にある但し書き |
|---|---|
| 竿釣及び手釣 | いわゆる釣り。ここに入ります |
| たも網及び又手網 | すくう網 |
| 投網 | 船を使用しないものに限る |
| やす、は具 | 突く道具、かき採る道具 |
| 徒手採捕 | 道具を使わず手で採る |
手で採る漁法は認められている。それでも貝は持ち帰れない
ここが一番ややこしいところです。第45条は「やす、は具」も「徒手採捕」も認めています。手で採る行為は、漁法としては規則の中に入っている。それでもサザエやアワビを持ち帰れないのは、漁法の話と漁業権の話が別だからです。
漁法の条件を満たしていても、その魚種が共同漁業権の対象になっていれば、権利を持つ人以外は採れません。石川県が例に挙げているのはアワビ・サザエ・ワカメです。
罰則は改正漁業法の施行にあわせて重くなりました。石川県水産課がまとめている内容です。
3,000万円は個人に対する罰金として最高額です。漁業権侵害の罰金も、以前の20万円以下から100万円以下へ引き上げられました。数字の桁が、この行為をどう見ているかを表しています。
貝の側から石川の海を見た話は、潮干狩りの記事にまとめてあります。あさりも共同漁業権の対象なので、事情はまったく同じです。
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 特定水産動植物(アワビ、ナマコ、13cm以下のシラスウナギ)の採捕 | 3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金 |
| 密漁品の流通 | 3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金 |
| 漁業権の侵害 | 100万円以下の罰金 |
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釣っていい相手にも、大きさと時期の線がある

漁業調整規則には、採捕そのものを禁じる期間と、この大きさ以下は採ってはいけないという下限が並んでいます。遊漁者だけの決まりではなく、海に入る全員にかかるものです。
てんぐさとえごのりは、能登の輪島市地先など一部の海域で期間が別に定められています。地先ごとに数字が変わるので、規則の別表を開いて確かめたほうが確実です。
全国共通の制限もあります。クロマグロの小型魚、30kg未満のものは、キャッチ&リリースを前提にしても遊漁で採ることが禁じられています。重さがはっきりしないときはリリースするように、と水産庁が明記しています。遊漁者の届出制も令和8年4月からと案内されています。
季節ごとに海の側で何が動いているかは、底引き網の解禁やカニの解禁日と重なります。漁のカレンダーを知ると、規制がその時期に置かれた理由も読めてきます。
関連:カニ解禁日2026
| 対象 | 禁止期間(第35条) | 大きさの下限(第36条) |
|---|---|---|
| あわび | 10月1日〜12月31日 | 殻長10cm以下は禁止 |
| なまこ | 4月16日〜11月5日 | — |
| はまぐり | — | 殻長3cm以下は禁止 |
| おきあさり(あおさがい) | — | 殻長3cm以下は禁止 |
| べにざらがい | — | 殻長9cm以下は禁止 |
| てんぐさ | 4月1日〜6月30日 | — |
| ほんだわら | 1月1日〜6月30日 | — |
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川で釣るなら、遊漁券が要る
河川や湖沼の多くには第五種共同漁業権が免許されていて、地元の内水面漁協が稚魚の放流などの増殖義務を負っています。石川県には内共第1号から第23号まで23の漁業権があり、大聖寺川、柴山潟、動橋川、大杉谷川、白山手取川、白峰、金沢、大海川、邑知潟、鯉ヶ浦、町野川・柳田河川の各漁協が管理しています。
釣るには遊漁承認証、いわゆる遊漁券が必要です。遊漁料の額、納め方、遊漁の期間は漁協ごとの遊漁規則で決まり、知事の認可を受けています。県は電子遊漁券に対応している漁場を案内していますが、邑知潟漁協と鯉ヶ浦漁協の漁場は対応外です。
サケだけは扱いが違います。河川でのサケの採捕は水産資源保護法で禁止されていて、石川県は「捕ろう」とする行為自体が違法であり、実際にサケを所持していなくても罰せられることがあると書いています。罰則は1年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
場所は、自分で確かめるしかない

石川県には漁港が69港あります。県が管理しているのは8港で、残る61港は所在地の市町の管理です。管理者が港ごとに違うので、立入や駐車の扱いも一律にはなりません。この記事で「この港なら大丈夫」と一覧を出さない理由がこれです。
石川県漁港管理条例の第3条は、何人も漁港区域内においてみだりに漁港施設を損傷する行為その他漁港の機能を妨げる行為をしてはならない、と定めています。承認や許可を受けない行為には5万円以下の過料が置かれています。ロープや看板は管理者が出したもので、飾りではありません。
調べる順番は3つ。まず行き先の漁港の管理者が県か市町かを確認し、立入の可否を聞く。次に、魚種や漁法の制限は石川県農林水産部水産課(076-225-1653)へ。川なら、その区間を管理する漁協に遊漁券と期間を聞く。この3本で、たいていは事前に片づきます。
そして最後は現地の掲示が優先です。ネットに残る数年前の情報より、目の前の看板のほうが新しい。日本海は季節で表情が変わるので、海の荒れ方も含めて当日の判断を残しておいてください。
Sightseeing
この記事に出てくる観光スポット
本文で触れた場所です。開いている時間や料金は、それぞれのページにまとめてあります。
