金沢で何を食べるか。旅の計画で一番楽しく、一番迷うところです。海鮮は外せないとして、金沢おでんって何が違うのか、ハントンライスとは何者なのか。名前だけ知っている「金沢の名物」は意外と多いはずです。
ひとつ、金沢の食を象徴する数字があります。総務省の家計調査によると、金沢市は1世帯あたりの寿司(外食)への年間支出額が全国1位(2021〜2023年平均)。つまりこの街の人たちは、日本一寿司を食べています。舌の肥えた地元客に鍛えられてきたのが金沢の食文化です。
地元の個人店を取材して回っている石川まんでいいところ編集部が、金沢の名物・ご当地グルメをジャンルごとにまとめました。価格や提供時期は執筆時点の情報です。
まずは海鮮。のどぐろ・甘えび・カニ

金沢の食の主役は、なんといっても日本海の魚介です。覚えておきたいブランドネタは次の4つです。
- のどぐろ: 正式名はアカムツ。「白身のトロ」と呼ばれるほど脂がのった高級魚で、炙りや塩焼きが定番です
- 金沢甘えび: とろける甘みで、底引き網漁の主役です
- 香箱ガニ: ズワイガニの雌の石川での呼び名。甲羅に詰まった内子とミソが絶品で、漁期は11月6日から12月29日までの2か月弱だけです
- 加能ガニ: 石川県産の雄ズワイガニのブランド名。冬の主役です
回転寿司のレベルが全国トップクラスといわれるのも金沢の特徴で、観光協会自身が公式サイトでそう紹介しているほどです。高級店に構えなくても、回転寿司と近江町市場の海鮮丼で十分に金沢の海は味わえます。
金沢おでん。車麩・バイ貝・かに面
金沢は日本有数の「おでんのまち」です。一年中おでんを出す店が多く、澄んだだしに金沢ならではの種が並びます。初めてなら、この3つを頼んでみてください。
- 車麩: だしをたっぷり吸った金沢おでんの顔です
- バイ貝: コリコリした食感と甘みが日本酒に合います
- かに面: 香箱ガニの甲羅に子とミソ、身を詰めた金沢おでんの名物。香箱ガニの漁期にあわせた冬だけの提供です
メギス(ニギス)のつみれや赤巻というかまぼこも地元の定番です。金沢駅の百番街には1953年創業のおでん店「黒百合」があり、旅の最初か最後の一杯にちょうどいい場所にあります。
B級グルメ御三家。ハントンライス・金沢カレー・8番らーめん
ハントンライスとは
金沢の洋食店で生まれたご当地グルメです。ケチャップライスの上に薄焼き卵、白身魚のフライをのせ、ケチャップとタルタルソースをかけるのが基本形。名前は、ハンガリーの「ハン」とフランス語でマグロを意味する「トン」を組み合わせた造語といわれています。
発祥には諸説ありますが、1960年頃に金沢のレストランのまかないとして生まれたという説が知られていて、発祥の店として名前が挙がるのが昭和32年創業の「グリルオーツカ」です。ほかにも「JOHNかりおすとろ」「キッチンユキ」など個性の違う名店があり、価格はおおむね1,300円前後。コンビニ弁当になるほど地元に浸透しています。
金沢カレーとは
濃厚でドロッとしたルー、ステンレスの舟形皿、千切りキャベツ、先割れスプーン、カツをのせてソースをかける。この5つが特徴とされるスタイルです。「ゴーゴーカレー」が2004年に東京へ出店して全国区になり、老舗の「チャンピオンカレー」とともに金沢カレーの代名詞になっています。
8番らーめん
1967年、加賀市の国道8号沿いに1号店が生まれた北陸のソウルフードです。店名の由来はそのまま「国道8号線沿いだったから」。野菜らーめんが看板で、県民の胃袋を半世紀以上支えています。厳密には金沢発祥ではありませんが、金沢を歩けば必ず見かける「北陸の味」です。
武家のごちそう。治部煮
鴨肉(鶏肉のことも)に小麦粉をまぶし、すだれ麩や野菜と一緒に煮る加賀の郷土料理です。小麦粉のとろみがだしを閉じ込め、薬味のわさびが味を引き締めます。少なくとも江戸時代から続く武家料理で、加賀藩の台所方の記録にも関連レシピが残っています。名前の由来は「じぶじぶ」と煮る音からという説など諸説あります。料亭や割烹のほか、総菜店や弁当で出会えることもあります。
甘いもの・夏冬の風物詩
- 金箔ソフト: 金沢は国内金箔生産のほぼ全量(約99%)を占める産地。ソフトクリームに金箔を丸ごと1枚貼る「箔一」の金箔ソフトは1,189円で、ひがし茶屋街の名物になっています
- 氷室饅頭: 毎年7月1日の「氷室の日」に無病息災を願って食べる金沢の風習。加賀藩が氷室の雪氷を将軍家に献上した故事に由来するといわれます
- どじょうの蒲焼き: 金沢の夏のスタミナ食。旬は7月上旬〜8月下旬で、近江町市場やデパ地下で買えます
野菜にもブランドがある。加賀野菜
「昭和20年以前から栽培され、現在も金沢で主に栽培されている野菜」が加賀野菜として認定されています。認定は15品目。五郎島金時(さつまいも)、加賀れんこん、加賀太きゅうり、金時草、源助だいこんなど、料亭から居酒屋まで幅広い店で味わえます。海鮮の合間に、ぜひ野菜の煮物や天ぷらも頼んでみてください。
まとめ
金沢の名物は「海鮮」だけでは語り切れません。おでんで一杯やって、昼はハントンライス、おやつに金箔ソフト、締めは8番。庶民の味と武家の味が同居しているのが、この街の食の面白さです。
季節で選ぶなら、冬はカニとかに面、夏は氷室饅頭とどじょうの蒲焼き。旬に合わせて何度でも食べに来てください。
写真提供:石川県観光連盟/ほっと石川旅ねっと
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