能登半島をどこまでも北へ走っていくと、道の駅すずなりのある珠洲市の中心部にたどり着きます。その一角、野々江町に薪窯のあるピッツェリアがあります。「イタリアン・カフェ こだま」。Instagramのプロフィールには「石川県奥能登最先端にあるナポリピッツァ専門店」と書かれていて、この一文だけでもう、わざわざ行きたくなってしまうお店です。
珠洲の食材と、珠洲の塩と、珠洲の海で拾った貝殻。こだまのピッツァには、この土地のものがあちこちに入り込んでいます。
奥能登の最先端で、薪窯のナポリピッツァを

こだまの主役は、薪窯で焼き上げるナポリピッツァです。高温の窯で一気に焼かれた生地は、ふちがぷっくりと膨らみ、ところどころに香ばしい焦げ目が入ります。薪の火でしか出せない、あの独特の香りをまとった一枚です。
この生地に使われているのが、奥能登の揚げ浜式塩田でつくられる天然塩。海水を砂にまいて天日で濃縮させる、日本でここにしか残っていないと言われる製法の塩です。地元の旬の野菜やきのこ、椎茸をのせた「珠洲こだまピッツァ」は、名前のとおり珠洲がまるごと一枚にのったような看板メニューになっています。
ピッツァとパスタはどちらも1,100円ほどから。テイクアウトにも対応していて、旅の途中に持ち帰るという楽しみ方もできます。
貝殻とシーグラスで飾られた、旅する珪藻土の窯

目を引くのが、貝殻やシーグラスでびっしりと飾られた珪藻土のガス窯です。珠洲の海辺で集められたかけらが一つひとつ埋め込まれていて、窯そのものが作品になっています。持ち運べるつくりになっていて、ふだんはイベントなどに連れ出して活躍しています。
震災前まで使われていた自家製の薪窯は、2024年の能登半島地震で壊れてしまいました。同じ年の3月に営業を再開してから、新しい薪窯が完成するまでのあいだを支えたのが、この珪藻土の窯です。いまは業者さんに新しく作ってもらった薪窯に火が入り、ナポリピッツァが焼き上がっています。
営業時間以外の顔もにぎやかで、地元の農園と組んだデイキャンプを開いたり、姉妹店の「食堂とりとん」を立ち上げたりと、珠洲の中で動き続けているお店です。

イベントに出張した日の一枚。彩り豊かな野菜がのる
昼も夜も、遅い時間まで開いている安心感

こだまは昼が11:00から15:00まで、夜が17:00から22:00まで。奥能登でこの時間まで開いている飲食店はそう多くありません。夕方まで見どころを回って、それから夕食にする。そんな旅の組み立てができるのは、ドライブで珠洲を訪ねる人にはありがたいところです。
定休日は水曜と木曜。予約は電話で受け付けています。ローストビーフのように事前予約が必要なメニューもあるので、狙いがある方は早めに連絡しておくと確実です。冷凍ピッツァのオンライン販売もあり、家に帰ってからもう一度食べたくなったときに頼れます。

カウンターに並ぶ小皿とドリンク。お水はセルフサービス
場所は道の駅すずなりから車ですぐ。見附島や禄剛崎、揚げ浜塩田といった珠洲の見どころとあわせて立ち寄りやすい立地です。
編集部より

珠洲まで足を延ばすと、それだけでちょっとした冒険をした気分になります。その終着点で、地元の塩と野菜をのせた薪窯のピッツァが待っている。イベントに連れ出される珪藻土の窯は、珠洲の海のかけらで飾られている。奥能登の最先端という立地を、これ以上ないかたちで味方につけたお店だと思います。珠洲を訪ねる予定があるなら、ぜひ昼か夜の予定に組み込んでみてください。

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