金沢は、人口あたりのおでん店が多い「おでんのまち」として知られています。一年中おでんを出す店が多く、車麩やバイ貝、赤巻、そして冬だけのカニ面まで、金沢ならではの種がそろうのが特徴です。全国どこにでもあるおでんが、金沢では立派なご当地グルメになっています。

この記事では、金沢おでんとは何かを、ならではの具材、通年で楽しめる文化、そして冬の名物カニ面まで順番に解説します。地元の個人店を取材している「石川まんでいいところ」の視点で、旅の前に知っておくと一杯がぐっと楽しくなる背景をまとめました。

金沢おでんとは?どんなおでんか

車麩やバイ貝などが並ぶ金沢おでん
車麩やバイ貝、赤巻など、金沢ならではの種が並ぶおでん(写真提供:石川県観光連盟/ほっと石川旅ねっと)

金沢おでんは、金沢ならではの具材と、店ごとに守られてきた出汁が魅力のおでん文化です。昆布や鰹節、煮干しなどでとった出汁に、地元の醤油で風味をととのえるのが基本で、澄んだタイプからコクのあるタイプまで、店ごとに個性があります。地元の食材を使うこと、そして一年を通して食べられること。このふたつが、金沢おでんを金沢おでんたらしめている土台です。

金沢おでんならではの具材

土鍋で煮込まれたおでん
出汁をたっぷり含んだ種が並ぶおでん鍋(写真はイメージ)

金沢おでんを語るうえで欠かせないのが、ご当地ならではの種です。代表的なものを挙げておきます。

  • 車麩:ドーナツのように中央に穴のあいた大きな丸い麩。出汁をたっぷり吸い込み、とろけるような食感になります。
  • バイ貝:日本海でとれる巻貝。こりこりとした歯ごたえと濃厚な肝が持ち味で、金沢では祝いの席にも並ぶ縁起物です。
  • 赤巻:赤い渦巻き模様のかまぼこ。彩りが華やかで、金沢おでんの定番種です。
  • ふかし:すり身を蒸した種で、ふんわりとした口当たりが楽しめます。

このほか、加賀野菜の源助大根を使う店もあります。地元の食材が種として並ぶところに、金沢おでんらしさがよく表れています。

一年中楽しめるおでん文化

ごはんとおでんの和食膳
季節を問わず、気軽に立ち寄って味わえるのが金沢のおでん(写真はイメージ)

おでんは冬の食べ物というイメージがありますが、金沢では夏でも楽しめるのが特徴です。通年でおでんを出す店が多く、地元の人は季節を問わず気軽に暖簾をくぐります。金沢の老舗が集まる会が掲げる定義も、「地元金沢の食材を使うこと」と「一年を通して食べられること」のふたつ。おでんが日常の食として根づいている街ならではの文化です。

旅の途中、少し小腹がすいたときや、一杯やりたいときに、ふらりと立ち寄れるのも金沢おでんの魅力です。カウンター越しに湯気の立つ鍋を眺めながら味わう一皿は、旅の記憶に残ります。

冬だけの特別な一品「カニ面」

金沢おでんのなかでも、とりわけ贅沢なのがカニ面です。香箱ガニの甲羅に、内子や外子、ほぐした身をていねいに詰め、出汁にくぐらせた金沢独特のおでん種です。ひとつひとつ手作業で仕込むため手間がかかり、香箱ガニの漁が解禁される冬の限られた時期だけの提供になります。名前は、詰めた姿が剣道の面に似ていることに由来すると伝えられています。

食べられる期間が短いぶん、冬に金沢を訪れたらぜひ味わっておきたい一品です。カニのうまみが出汁に溶け出し、甲羅の中には香箱ガニの魅力が凝縮されています。

まとめ ― 金沢おでんは一年中の楽しみ

金沢おでんは、車麩やバイ貝、赤巻といった地元ならではの種と、店ごとの出汁が魅力のおでん文化です。一年中楽しめるのが基本で、冬にはカニ面という特別な一品も加わります。全国どこにでもあるおでんが、地元の食材と食文化を映して金沢だけの名物になっています。

金沢を訪れたら、ぜひ地元のおでん屋で一杯やってみてください。金沢おでん以外の石川の名物もまとめて知りたい方は、下の記事もあわせてどうぞ。地元の人が通う小さな名店を探すなら、掲載店の一覧ものぞいてみてください。